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2020.04.07 デザイン

色覚異常の特性、加齢による色覚変化を理解する(色のユニバーサルデザインについて vol.2)

それぞれの特性を理解する

説明すると長くなるので、かいつまんで特性と見え方の例を書きます。
まず、色覚異常の中でも比較的多いタイプは下記の4種です。

1.先天性の色覚異常

色覚遺伝子の変異によって発生し、1型、2型、3型と分けられます。
1型と2型では、赤と緑、オレンジと黄緑、青と紫、焦げ茶色と深緑などが判別しづらくなります。日本人の場合、1型と2型を併せて男性では約5%、女性では0.2%出現します。
3型は0.001%と、稀です。

タイプP:第1色盲、1型2色覚。

赤色弱。先天性の約25%。赤が暗く見えるので、黒との区別がつきにくい。

黒背景に赤色の手マークと「STOP」の文字を入れた例です。
こちらは明るめの赤にしたので判別は出来るのですが、この見え方だと黒に馴染んでしまって警告であるという意図は伝わりづらいと思います。

タイプD(Deuteranope):第2色盲、2型2色覚。

緑色弱。先天性の約75%。
赤や緑を判別しづらいため、色で判別するゲームを行うことや食品の鮮度等を判別するのが難しい。

シミュレーター(後述します)で、わたしが一番衝撃を受けたのは上記の焼肉写真でした。
赤や緑の判別が難しいため、生肉と食べ頃の肉の判別が困難です。
よく見ると、焼けた肉は表面の質感が違うのですが・・・。焼肉屋さんの薄暗い店内、煙がモクモクした環境でこれを判別するのは難しいと思います。

タイプT(Trianope):第3色盲、3型2色覚。

青色弱。青緑色弱。数万人に一人の割合。


2.後天性の色覚異常

後天的に目や脳の病気、ストレス等の心因性によって、色の見え方が変化する色覚異常もあります。

3.加齢による色覚変化

水晶体の色は経年で黄みを増し、高齢になると茶褐色の濁った色となります。
黄色い水晶体は波長の短い青い光を多く吸収するため、青系の識別力が低下します。

加齢によって水晶体が黄色く変化してくると、視界も黄みがかって見えるようになります。
青系の識別力も低下するので、上記の例のようにガスコンロの青い炎が見えづらくなってきます。

老人性白内障

60代で6〜70%、70代で90%、80代で100%近く発症します。
霧がかったように見えたり(霧視)、ものが2重3重に見えたりします。
一部の白内障では、水晶体の混濁により眼内で光が散乱し、明るい環境ではまぶしさを感じるようになります。


緑内障

日本人では40歳以上の3.5%が発症します。
緑内障は視野異常をおこし、視野欠損、視野狭窄、霧視、視力低下などの自覚症状が現れます。
視野欠損が生じると実線と点線の区別が付きづらくなります。


加齢黄斑変性

加齢によって網膜の中心にある黄斑に障害が生じ、視野の中心が見えにくくなる病気です。
50歳を超えると増え始めて、中心暗点(視野の中心部が見えにくくなる)、変視症(ものが曲がったり歪んだり見える)という症状がで始めます。
階段等が見えにくくなるので、踏み外し等への注意が必要となります。


4.ロービジョン

病気や怪我による視力低下や視野欠損をいいます。緑内障や網膜症など。


あひる
ライター名:あひる
気付けばデザイン歴10年以上。
UC(色のユニバーサルデザイン)アドバイザー。
見た目だけではない、戦略的なデザイン設計を考えています
おやつ作りも好きですが、それ以上に自転車(ロード)とスキーが好きです。
特技は早起きです。

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